Horror好きが行く!

怖いもの好きが書く映画・本・もろもろの記録

『女優霊』と『シエラ・デ・コブレの幽霊』

見た後イヤ~な気持ちになった映画について書こうと思って、『女優霊』のことを調べていたら、ネタ元のひとつである『シエラ・デ・コブレの幽霊』という幻の映画が出てきて、それに関わる話がおもしろかったので、書きます。

『女優霊』(1996年 中田秀夫監督)

 まず、こちらの作品はもちろん見ることができます。話としては大したことないんです。主人公の新人監督が撮影所で映画を撮るのですが、カメラテストをしてみたら撮ってない映像が紛れ込んでいた。だがその映像になぜか主人公は見覚えがあった。幼い頃にTVで見たのか…とにかく、その映像が気持ち悪い。というかその映像の中の女優が怖い。話の筋とは無関係に登場し、ケタケタと高笑いするんです。「わけがわからない」っていうのは恐怖の一部ですよね。なんでこの映像が紛れ込んだのか。これは誰が撮ったものなのか。作品として公開されたのか…すべてが曖昧。女優霊が外に出てきてしまってからはちょっと興ざめしましたが。後に『リング』を撮った中田監督。リングにも重要アイテムとして「呪いのビデオ」が出てきますね。でも個人的にはこの作品の「わけのわからない」映像の方が怖かったです。

『シエラ・デ・コブレの幽霊』(1964年 ジョセフ・ステファノ監督)

 こちらは1964年にアメリカでテレビシリーズのパイロット版として製作されたホラードラマ。正確には映画として作られたわけではありません。尺も49分と短め。これがなぜお蔵入りになったかというと、局内で試写を行った際、あまりの恐怖に気分が悪くなった者が続出したから(実際嘔吐した人もいたらしい)。一方では監督と製作サイド側とで契約トラブルがあったとか(こっちの方が真実味があるかも)。いずれにしろ、アメリカで日の目を見ることがなく、制作費を回収するためか、アメリカ以外の数カ国へフィルムが貸し出されたのです。その中に日本も入っていて、1967年の日曜洋画劇場(淀川さんの「サヨナラサヨナラ」ですね)で、一度だけ放映されました。その時の恐ろしい思い出を抱えた少年少女たちが大人になり、中田監督も含め、今思い出とともにまことしやかに語られる存在となったわけなんですね。

結論を言ってしまうと、このフィルムは日本の収集家S氏が所有していて、何度か上映会が行われたので見た人はいます。これを何とかDVD化しようと働きかけてくださってるようですが、版権の問題やらでなかなかうまくいかないらしい。見た人の感想を読むと、話は大して怖くなさそうなんですが、幽霊が登場する際の音がわりと独特で「気持ちが悪い」そうです。とにかく見ることができないと言われると見てみたいのが人情(?)ってもんですよね。望む、DVD化!

 詳しく知りたい方は中島晶也さんのブログ「Weblog on the Borderland」を読んでみるとよくわかります。 

女優霊 [DVD]

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