呪われたジェシカ(1971年 アメリカ)
幻の作品として評価が高かったもの…今ではDVDで見られるように。訳あって英語のみの視聴。言われているほど怖くはなかったものの…雰囲気は好み。不気味である。
原題が”Let's scare Jessica to death”(ジェシカを死ぬほど怖がらせよう)。
たしかに『呪われたジェシカ』の方がしっくりくるかも…
冒頭、水上に浮かぶボート。ボートの女性ジェシカがつぶやく「私は狂気か正気かわからない…」。この言葉が全てを物語っている作品(←言っちまった~)。
ジェシカは夫ダンカンと友人ウッディとともに田舎町に越してきます(なぜか霊柩車で)。ジェシカは精神的におかしくなった過去があり、ようやく退院して、夫と療養を兼ねてここにやってきたわけです。
ジェシカ…どうこう言うつもりはありませんが、趣味が墓拓(人様の墓石に紙をこすりつけて写し取る)。移動途中にステキなお墓を見つけ、墓拓していると…
あら? 見知らぬ女の子
しかし夫に言おうとちょっと振り返ってまた見ると、もう女の子はいません。「あちゃ~、私、やっちまったか?」と自分の精神状態に自信がないジェシカは黙ってニッコリ。この後も不気味な声(「ジェシカなぜ来たの?」)が聞こえてきたりするのですが 、とにかく自信がないジェシカは夫に言わない方がいいわと不安なのに表向き笑っているわけです。
新しい家へ着き、玄関先にまた女の子を見てビクビクのジェシカ。が、家へ入ってみれば、見知らぬ女性が出てくる。これはダンカンもウッディも見えているので、現実の女性である。ヒッピーっぽい女性はエミリーと名乗り、「空き家だと思って勝手に住んでしまってました、ごめんね、出て行くわ」と。
それをなぜか呼び止めてしまうジェシカ。そしてダンカンとウッディも素性の知れない彼女を素直に受け入れ、4人は一緒に暮らすことに。
エミリー。ジョディ・フォスター+メグ・ライアン÷2って感じ
湖で泳いでいると、ジェシカは突然、水底から何かに引き込まれかける。白い服の女性のような…水の中なのでもやもやっとしかわからない感じがまた不気味。大騒ぎしますが、ダンカンたちは何もなかったと言います。
お金がなくなったので、家の中のものを売りにいくことに(って、前の持ち主の物なんですが…) 。屋根裏部屋で探していると、ジェシカは古い写真を見つけます。町の骨董屋さんに持っていくと「以前あの家に住んでいたビショップ家の人たちだ。娘のアビゲイルが結婚直前に家の裏の湖でおぼれたらしいが…遺体が見つかっていない」おまけに「吸血鬼となって歩き回っている」という噂もあるらしい。ダンカンはそんな話を妻の耳に入れたくなかったのか、そそくさと車へ。するとなぜか車が町の人たち数人に囲まれてて、ウッディも若干びびっています。べつに何かしてくるわけでもなく、ニヤニヤ笑っているだけですが、充分怖い。
ある日ジェシカが一人の時、またもあの女の子の姿が。しかも今度は彼女を誘うように手招きして駆けていく。ジェシカが後を追うと、崖下に血まみれの男が!
ラスト30分急速に展開していきますが、それまでは昔の映画らしく、スローモーなので、今の映画を見慣れていると退屈かもしれません。
後半もエミリー=アビゲイルが吸血鬼で、血を吸われた町人たちが一緒に襲ってくる…しかもダンカン、ウッディもやられてしまった……という展開になるのですが、あくまでジェシカの視点なので、実際は違うのかもしれない。ジェシカは川へボートで漕ぎ出し、それが冒頭の場面となるのですが、今までのことはジェシカの狂気が見せた悪夢かもしれない…と思わせて終わるんですね。はっきりしないのが嫌な人には無理なラストかも。
水から上がってくるエミリーは写真のアビゲイルそっくり…