Il Profumo della Signora in Nero(1974年 イタリア)
ひさびさの日本未公開(おそらく)。そして日本版DVDなし。たしかに話が???な感じで終わるんだけど、もっとグダグダな映画でもDVD出てるのになぁ…。
音楽はいいです
なお、イタリア語は全くわかりませんので、なんとなく筋を追うのみ。以下私の強引な解釈で書いてますのであしからず。心理ホラーとして見ればなかなか良作だと思います。ちなみにヒロインは『四匹の蝿』のミムジー・ファーマー。
シルビアは化学工場らしきところに勤めるキャリアウーマン。とってもステキなマンション住まい。…なんですが、しょっぱなからトラウマ抱えてることが描かれてます。父親は船員(というか船長?)で、長らく帰ってこないせいか、母親は浮気な女性だったようです。子供ながらにショッキングな場面を見てしまったシルビア。
そんな彼女だけど、ロベルトという彼氏がいる。同じマンションのご近所さんとも仲良くお付き合いしている。が、しかし、隣人ロセッティ氏をはじめ、男性は皆好色な目でシルビアを見つめること多々あり。深層心理で男性を恐れている彼女の被害妄想とも思わせる。
どうやら母親は亡くなっているようなのですが、シルビアには少女の頃の記憶が曖昧。友人フランチェスカの紹介で、盲目の霊能者の女性から思い出の人形を通して過去を言い当てられそうになりますが、知りたくないのか、その場から逃げ出してしまう。それと前後して、シルビアの前に白い服の少女が現れる。それは子供の頃のシルビアだった。
現実と妄想の境が曖昧になっていく中、フランチェスカが死んだ(殺された?)と聞き、ショックを受けるシルビア。精神的に追いつめられた彼女は、さらに実家の廃墟を訪れていた際、剥製店の主人にレイプされてしまう。思わず手にした石で殴り殺して逃げたシルビアだったが、ロベルトと共に見に行くと、遺体は消えていた。
シルビアは母のドレスに袖を通す。そしてはっきり思い出した。少女の自分が、母をベランダから突き落として殺したことを。少女の自分の幻想と戯れ、楽しそうに笑うシルビア…『四匹の蝿』のニーナの狂気の演技を思い出します。
(以下ラストまで書きます)
なぜか中華包丁のような巨大なナイフを持っていて、それでロセッティ氏、ロベルトと次々殺していくシルビア。居間のテーブルに剥製屋の主人を含め、3人仲良く座らせて、お茶を入れる場面がなかなかクレイジー。少女シルビアがいないことに気づき、屋上へ上がって行くシルビア。すると、少女シルビア登場。彼女を抱きかかえるようにして、一緒に階下へ落下していく……
シルビアの無残な遺体の前に現れた何者か。…個人的にはここで終わってればいい映画だと思うのですが、この後、トンデモ展開に。
秘密の地下組織? みんな囚人服みたいな同じ格好。しかも町中の人間が…囲んでいるのはシルビアの遺体。ロセッティ氏もロベルトも、剥製屋の主人も…死んだんじゃなかったっけ???
さらにはシルビアの遺体を切り裂き…内臓を取り出すと食べはじめる! それも次々と…内臓争奪戦の異様過ぎる光景。これで終わり…ホントだよ(笑。
この人たちは一体なんなんだ?
どうにかして解釈するとすれば(笑、アフリカの民族から端を発する秘教集団の彼らが、呪術か何かでシルビアを追いつめ、死に至らしめたのか。おそらくはフランチェスカも(というか彼女は教団の一員だったようだが)彼らによって殺されたのだ。
序盤からなんか怪しい組織がある感じは匂わせているんだけど、別に町中の人にしなくてもいいんでない? というか、個人的にはシルビアの狂気の末の連続殺人でよかったんだけど。
あいかわらずステキすぎるデザイン。右はフランチェスカのお部屋