Tutti i colori del buio(1972年 イタリア他)
悪魔崇拝のグループに狙われた人妻。夢と現実の区別がつかなくなってきて…グルーヴィなブルーノ・ニコライの音楽にハマります。日本DVD未発売です。面白いのにね~。
英題は”All the Colors of the Dark”
ロンドンの大きなアパートメントに住む若妻ジェーン(エドヴィージュ・フェネシュ)は異様な悪夢にうなされていた。
相変わらずお美しい…
空飛ぶ醜怪な女、全裸の妊婦、青い目の男に刺される母親…ヤバイ夢なのは間違いない(笑。
最近自動車事故により彼女は流産していて、夫リチャードはそれが原因で悪夢にうなされていると思っている。なので、彼女の姉バーバラが勤めるメンタルクリニックでカウンセリングを受けるよう勧める。
カウンセリングを受ける中、ジェーンは実は母親がサタニックカルトを信仰する恋人に刺し殺されていた過去を告白。しかもその恋人マークと同じ青い目の男を待合室で見かけていた。バートン医師はそれはジェーンの幻覚にすぎないと言う。
ところがクリニックからの帰途、ジェーンは実際にマークに追いかけられる。恐怖にかられ、アパートメントへ入ろうとしていると、女性が助けてくれた。彼女メアリーはジェーン夫妻の階下に住んでいるという。
一人悩むことの多かったジェーンは仕事で不在がちな夫に代わり、次第にメアリーと親密になっていく。ある日メアリーの指示するまま車を走らせると、大きな古城へ着いた。案内されるまま、地下へ歩みを進めた彼女が見たのは…教祖マクベイン率いる悪魔崇拝の集会だった。
(以下ネタバレ含む感想)
どうやら監督は『ローズマリーの赤ちゃん』を意識して撮ったらしいのですが、パクリとは違う、いい意味で、異様な映画になってます。
この後、ジェーンはマクベインに無理やり犬の血を飲まされ、彼らとの乱交セックスに身をまかせてしまいます。単純な話ですが、彼女の母がはまっていたのはこの団体であります。
マクベインの顔ヤバすぎるだろ…右は教団(?)のシンボルです
じつはメアリーがジェーンをこの教団に引き入れたのは自分が脱会するためだった。脱会…とはいえ、辞めるのではなく、命を捧げる(!)というもの。ジェーンは半分これを現実ではないと思っている節があり、儀式の流れのまま、メアリーを刺し殺してしまいます。毎度、この異様な世界から目覚めるとベッドの中とかにいたりするので、たしかにどこまでが現実でどこまでが夢か見ている方もわかりません。あくまでジェーンの視点から描いているのが上手いなぁ。脚本上の齟齬をうまく誤魔化している。
マークはなぜかジェーンを刺し殺そうと執拗に狙います。それはバートン医師の別荘へ逃れても…。あわれ、別荘の管理人夫婦が殺されてしまいます。半狂乱で外へ逃げ出したジェーンに追い討ちをかけるように車の中で殺されているバートン医師の姿。
ここまでリチャードの影がめっちゃ薄いんですけど、首を絞められそうになり絶体絶命のジェーンを助けたのがリチャード。バートン医師を追いかけてここまでやってきたようです。巨大フォーク(納屋にあるやつよ)でマークを背中からグッサリ。息絶えたマークの手首には例の教団のシンボルが…。
なぜかここから急に遺産相続がからんだ展開になっていくのも謎。姉バーバラが教団のメンバーで、リチャードを誘惑しつつも、銃で胸を撃ち(撃たれ?)息絶えます。…毎度のことながら自分のリスニング力の無さを呪うのですが、バーバラが亡くなったことにより、ジェーンには巨額の遺産がころがりこんだようです。もしや、リチャードはこれを目論んでいた? 刑事さんが教団のことをジェーンたちに説明してる場面があるのですが…すいません、ちゃんと聞きとれず。もしかしたら、教団がジェーンたちの金を狙っての一連の犯行だったのかな?あくまで想像ですが。
そうそう、最後にジェーンはマクベインに殺されそうになるのですが、屋上ですったもんだしているうちにリチャードに阻止され、バランスを崩してマクベイン墜落死。震えるジェーンを抱き寄せるリチャード、というラストです。
が、リチャードもなんかただいい夫って感じじゃないんだよなぁ…(笑。まぁ、普通の映画として見ると、ちゃんと解決してないんですけど、ジャーロとして見れば、傑作の部類であります。