ゾンビ・リミット(2013年 スペイン・カナダ)
ゾンビ映画を期待して借りませぬよう。これ、題名ですごく損してる。ゾンビ化する=不治の病…と置き換えてみて。あなたの大好きな人がこうなってしまったら…そして治療薬が残りわずかと知ったら… エゴむき出し…なんだけど泣けた。
最初に言ってしまうと、オープニングはゾンビ映画っぽいんですけど、その後は静かな都会生活の描写が続きます。女医ケイトはミュージシャンの恋人アレックスと深く愛し合っている幸せなカップル。が…アレックスは実はリターンド。リターンドとは…1985年頃からはじまった死後人の肉を喰らうゾンビ化する謎のウィルスで、今のところそのゾンビ化した人から取った骨髄液から作られたワクチンで発症を押さえるしかない。ゾンビ化する人が減る(沈静化する)=ワクチンが作れない…という皮肉な状況になっていくんです。で、世論もいつ発症するかわからないリターンドを隔離した方がいいとか…果ては殺してしまおうという私刑集団まで出てくるように。
そんな中、アレックスは親友ジェイコブとアンバー夫妻に自分はリターンドだと告白する。ジェイコブたちは窮地に陥ったアレックスたちを自らの別荘へ案内するが……
これね…切ないんですよ。皆、自分たちの大切な人を守りたいだけ。でも血は流され、騙し騙され、ワクチンの奪い合い…醜いです。でも根底に流れる思いがわかるだけに、辛い。グログロ血みどろのホラーを期待するとハズレなんですけど、人間ドラマはこのテの映画にしてはとても良い。愛もエゴも隠すことなく描ききってる。
個人的にオススメなので今回はネタバレしません。