バニー・レークは行方不明(1965年 イギリス)
行方不明になった娘は実在するのか? このテのオチ映画の大元となった作品。しかし前評判通り、よく出来ている。特にラストの数十分は手に汗握ります。
※現在amazonでは欠品のようです。残念。YouTubeで¥300で見られますね。
ビリビリ破った紙の下から現れるクレジット。さすがソウル・バスの仕事。センスあるオープニングです。
アン・レークはアメリカからイギリスへ越してきたばかり。引越し作業で忙しい中、預けていたはずの4歳の娘バニーが保育園からいなくなってしまう。園中を探したが見つからず、アンは思わず兄のスティーブンを呼ぶ。
最初に子供のことをお願いしていた給食のオバちゃんがいなくなってしまったことや、責任者が歯医者に行っていていないとかゴタゴタあるんで、誘拐かな?とも思える。しかし警察が家を捜索したところ、バニーの物がなにひとつ見つからない。ここから……もしやアンって???とも思えてくる。そもそも最初からバニーが登場していないからです。
担当のニューハウス警部もアンの精神を怪しみはじめるが……
(以下ネタバレ)
本当のネタバレは反転させるようにしたので、本編をいつか見ようという方以外はどうぞ。
ニューハウスはスティーブンから兄妹の子供の頃の話を聞く。父を早くに戦争で亡くし、母は精神を病み、いない父と話をするような状態。そんな中、妹の面倒を見ることに一身をささげた少年時代。
アンにバニーのことを尋ねると、父親は学生時代の友達で、結婚すると言ってくれたが兄に反対され、自分も断ったと。ニューハウスは(というか我々も)首を捻ります。
スティーブンは「バニーを殺すつもりなら、彼女の物を持ち去るわけがない」とアンを慰めるが(この場面でオヤ?と見る方は思いはじめます)、アンはバニーの人形を修理に預けていたことを思い出す。バニーの存在を証明できるとアンは急いで人形店へ向かうが――
一方、ニューハウスらはスティーブンらが乗ってきた船について調べ始める。すると彼が嘘をついていることがわかる。スティーブンはバニーの人形を見つけたアンを殴りつけ、「頭がおかしくなって架空の娘を作り出している」と病院に入院させた。アンはなんとか病院を脱走し、実家へ向かう。実家ではスティーブンが穴を掘り、バニーの物を投げ入れていた。車へと向かう兄を追うと、トランクにバニーが寝かされていたのを見つけるアン。スティーブンはバニーを殺そうとしていた。スティーブンはアンに歪んだ愛情を抱いており、バニーが邪魔になったのだ。
ここで急に気弱な少女のようだったアンが母親の顔に変わります。バニーを守るために、少年返りしていく兄に合わせて一緒に庭で遊び始める。このスティーブンの変わりようも異様で怖いです。気を逸らそうと必死なアンと無邪気に遊ぶスティーブンの攻防がスリリング。
がんばってるところへニューハウスらが到着し、アンとバニーは無事助かります。
この後も似たパターンの映画、数々作られますが、元祖は不安のあおり方が秀逸ですね。変な人いっぱい登場するし(これも混乱させるテなのかもしれませんが)。