MAMA(2013年 スペイン他)
幼い姉妹が語る”MAMA”とは誰なのか? ぶっちゃけてしまうと怨霊の話です。もともとネット上で公開されてた短編をギレルモ・デル・トロ監督が気に入って、製作総指揮として長編化したものらしい。監督は短編を作ったアンディ・ムスキエティ。
家の中で銃声が響き渡る。何があったのかは直接描かれず、ニュース音声で投資会社を経営していたジェフリーが共同経営者と自分の妻を撃ち殺した…と説明される。
ジェフリーは幼い娘二人を連れて森へ。さまよううちに山小屋に辿りつく。思いつめたジェフリーは娘を撃ち殺そうとするが、そこへ黒い影のようなものが現れ、彼を捕まえ、消えてしまう。残された幼い姉妹。お腹をすかせた二人に闇の中からさくらんぼがころがってくる…
5年後。ジェフリーの弟ルーカスは姪たちを探し続けていた。姉妹は山小屋で発見されたが、野性化(よつんばいで歩くなど)していて、ひどく怯えていた。姉妹の精神状態に興味を持つドレイファス博士の協力で、ルーカスは姪たちを引き取ることに成功。博士が用意してくれた家に姪たちと恋人のアナベルとともに移り住む。
姉ヴィクトリアは割合すぐに野生化から元に戻ったが、妹リリーはなかなかルーカスたちに慣れず、触られることをいやがった。姉妹は山の中で生きてきた間、そばに”MAMA”という存在があったことを語り、今もそばにいるような言動をする。ドレイファス博士は当初、究極の状況下に置かれたヴィクトリアが心に作り出した別の人格だと思っていたが、彼女と面接を重ねるうちにその女性は本当にいるのではと調べはじめる…。
一方、影のようなものに襲われ意識不明となったルーカス。残された恋人アナベルは子供が苦手ながらも、姉妹と三人で暮らすことに。ヴィクトリアはアナベルに心を許していくが、近づかれるのを嫌がる。「彼女が嫉妬するから…」と。
(以下ラストまでネタバレ)
”MAMA”の正体は、あの山小屋の持ち主、エディスという女性。何十年も前の話。精神を病み、病院(教会?)から自分の子供を連れて脱走。追われて、追いつめられた彼女は崖下の湖へ自ら落ちて死ぬ。 ところが一緒に落ちたはずの赤ん坊は、じつは途中の枝に引っかかってた。子供を求め、エディスは怨霊化。山小屋にやってきた姉妹たちを気に入り、(ある意味)保護し、一緒に暮らしてきたわけです。
ある程度中盤で上記が判明して、ドレイファス博士も例の山小屋へ向かうのですが、エディスの怨霊にやられちまいます。その頃にはアナベルも怨霊の存在に気づき、博士のところから資料を盗み出し、エディスのことを知る。しかもその資料とともに、エディスの赤ん坊の亡骸が…(←証拠として保存されてた? 埋葬してやれって!)。
姉妹をとられると思ったエディス怨霊がアナベルを襲い、気を失っている間に伯母にとりつき、姉妹をさらって山へ。気がついたアナベルは、赤ん坊の遺体を持って、すぐに山小屋へ向かう。途中、ルーカスと合流。彼も兄から夢の中で山小屋へ行くようメッセージをもらってたんですね(「娘たちを救ってくれ」って言うけど…おめ~、殺そうとしてたやん!)。
山小屋へ着くと、無残な伯母さんの遺体に遭遇(この人も姪たちを引き取りたかっただけで…気の毒です)。エディスが落ちた崖の上にいる姉妹を発見。近づくと、崖下からエディス怨霊登場。ルーカスとアナベルVSエディスの対決。
アナベルがエディスの赤ん坊の遺体を渡し、一度引き上げかけたのに…リリーが呼び止めちゃうんですよ「ママ!」って。あちゃ~、エディスは戻ってきてしまいます。でも、ほとんど赤ん坊のうちに山小屋に連れてこられたリリーにとっちゃ、本当の母親より、こっちの方がママなんですね。
一方、ヴィクトリアはこのママは母親じゃないし、普通じゃないと気づいてる(年齢が上がったからかもしれない)。が、抵抗するとルーカスとアナベルが危ないから…とエディスと一緒に行こうとする。それを意外としぶとく引き止めるアナベル。映画の最初では母性のかけらもなさそうな女性だったし、今も母親ぶったりはしてないんだけど、二人を引きとめようと必死。ちょっと不思議なキャラです(でも…たぶん彼女が主役なんだろう)。
で、結果ですが…ヴィクトリアは残り、リリーはエディスと一緒に崖下へ落ちていきます(しあわせそうなリリーの表情がなぁ…涙)。(生きてると思わなかった→)ルーカスとアナベル、ヴィクトリア、三人で抱き合い涙でEND。
フツーに楽しめる、フツーのホラー。エディスさんはどこかでみたような(○子や伽○子 さん風)感じだし、わりと途中でエディスさんの正体わかるし、急にアナベルが母性全開になっちゃうし、子役は無駄に上手だし…スペインと書いてますが、完全にハリウッド映画ですね。…とかなんとか言いつつ、面白かったんですけど(笑。