一人称が怖い短編Best5
変な縛りをつけちゃったんで、5つ選ぶのに苦慮(笑。そのため、”I(わたし)”で書かれてないのも入ってます。でも一人の人物の視点なのは同じ。今まで見ていたもの、信じていたものがふと揺らぐ瞬間の恐怖がそこにある…と思います。
第5位「戸口に立つ少女」(2004) リチャード・マシスン
- 作者: リチャード・マシスン,尾之上浩司,伊藤典夫・尾之上浩司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/03/26
- メディア: 文庫
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作家デビュー前後に書かれたが「暗い内容なのであまり表に出したくなかった」作品の一つだそうです。娘アリスを訪ねてきた白いドレスの少女。母親の”わたし”は近所の子だと思い、一緒に遊ぶのを許可してしまうが…女の子を追い返したいと思った時には遅すぎた!
第4位「バルコニーからの眺め」(1983) クリスチアナ・ブランド
正確には一人称ではなく、主婦ミセス・ジェニングスの視点で描かれている。向かいの一家がバルコニーから太った彼女をのぞき見て、嘲笑っている。夫はあきらかに彼女に愛想を尽かし、浮気しているようだ…よくあるオチかもしれないけど、彼女がどんどん追いつめられていく様子がゾッとします。
この短編集は他の作品も面白い(怖い)のばかりでオススメ。
第3位「ルーシーがいるから」(1952) ロバート・ブロック
これも主人公ヴィーの視点で、一人称ではありません。ヴィーが病気なのをいいことに、夫のジョージは看護婦と関係を持ち、ヴィーが回復しないようにしている。それを教えてくれたのは唯一の味方で、親友のルーシーだった…これもよくあるオチなのですが、元祖が書いてるからということで…
第2位「黄色い壁紙」(1892) シャーロット・パーキンズ・ギルマン
”わたし”は夫が借りてくれた別荘で療養することに。寝室にしている、かつては子供部屋だった部屋の黄色い壁紙がどうにも不快で…作者がノイローゼになった体験をもとにしているだけあって、妄想なのか現実なのかわからない筆致がひたすら怖い。彼女が見る「這う女」…これってJホラーのsadakoやkayakoの元祖?
第1位「ゴースト・ハント」(1928) H・R・ウェイクフィールド
- 作者: H・R・ウェイクフィールド,鈴木克昌ほか
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/28
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著者の代表作『赤い館』のさらに数十年後かのような、30人以上が亡くなっている幽霊屋敷。暗闇の中、実況するラジオパーソナリティの一人称で書かれています。ラストで彼が半ば笑いながら実況する場面を想像してみて…とにかく怖い!
今回は海外小説に限りました。 本当に怖い作品って10読む中で1あればいい方なんですけど、見つけた時の悦びには換えがたいものがあるので、これからも読み続けると思います。