ザ・キープ(1983年 イギリス)
世間で言われているほど(?)わけわからんちんな映画でもなく、楽しめました。ルーマニアの山奥にある不気味な城塞(ザ・キープ)の中で、ナチ親衛隊が次々奇怪な死を遂げていく…今じゃ男臭い映画ばっかり撮ってるマイケル・マン監督の初期作品。
え?VHS?そうです、DVD化されてないの。オイラもCSで見たの。ちなみにこちらでその不遇を面白く解説しているのでどうぞ(⇒「シネマ解放区」)。3時間30分を90分にしたんだもん…そりゃ「わけわからん」にもなるってもんだ(笑。
1941年、ルーマニア。トランシルバニアの山岳地帯にそびえる城塞。ボーマン大尉たちドイツ軍が乗り込み、占拠する。近くの村の者で、城塞を守っているという男に尋ねても、城塞が何の目的で造られ、何から守るものなのか、よくわからない。ただ、外側よりも内壁を強固にした造りは、変わっていることは間違いない。その夜、見張り役の兵士二人が、壁に張られた十字架のような護符をはがし、石ごと引き抜いてしまう。すると開いた穴の奥には広大な景色が広がっており、急に眩い煙のような光につつまれたと思うと…兵士たちは光ごと身体を破壊されてしまった。
一方、ギリシャのとある宿で、一人の男が目覚める。身支度をして、向かう先はザ・キープのようだ。男の目的は?
ん~、これ、ホラーなんだけど、ホラーとして失敗なのは、肝心要のグロ場面がほとんどないこと。最初のドイツ兵の上半身破壊はなかなか見ものですが、後はボーマンの言葉で語られるのみ(ラスト近くに異様な死体の山は映りますが…)。
それと設定も話も面白いし、役者(ガブリエル・バーン、イアン・マッケラン、スコット・グレン)の演技もすごくいいのに…とにかく説明不足で、特に謎の男グレッケン…君はなぜにやってきたのか?いつからキープを守っているのか?そもそも人間じゃないみたいだけど…そうなったのはいつから?と、とにかくグレッケンですよ(笑。きっと、F・ポール・ウィルスンの原作ではちゃんと語られるんでしょうけど…
グレッケン、個人的には『仮面ライダークウガ』みたいに古代の戦士がよみがえった…のかなと思う(ベルトはないけど)。
(以下ほぼネタバレ)
- 作者: F.ポールウィルスン,F.Paul Wilson,広瀬順弘
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1994/01
- メディア: 文庫
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ネタをばらしてしまうと、この城塞に閉じ込められてたのは古代の魔人。見た目は…上のVHSジャケに描かれてますがな。個人的には悪くないビジュアルです(怖くないけど)。
この魔人がまたクセもんで、虐げられてたユダヤ人の教授を言葉巧みに操って、自分の開放を妨げている護符を取り出させようとするんだ。教授は収容所に入れられてたのを城塞の謎の解決に呼び出されたのだけど、ナチスに当然いい感情を持ってなくて、魔人が彼らを滅ぼしてくれるという言葉を信じて、手を組んでしまうんだよね。
意外な展開では、一見良識者っぽいボーマン大尉が、悪もんナチSS隊長に撃たれてしまう。いいヤツだったのに…が、すぐにSS隊長も古代の魔人に殺されちまうが。
教授の娘と会って即効関係を持った(笑)グレッケンが、最終的に魔人を封じ込め、自分も一緒に吸い込まれてしまう。泣き叫ぶ教授の娘。きっと原作では丁寧に関係を築いていくんだけど、いきなりまぐわってるので(笑、ラストの彼女の嘆きにもち~とも共感できない。
いろいろ問題ありますが、なんだかんだ見てしまったのは、やはりキープの力か(笑…。