ノーマッズ(1985年 アメリカ)
不思議なテイストの作品。なんだかよくわからなくてもう一度見直して…ようやく納得(?)。『ダイハード』のジョン・マクティアナン監督のデビュー作。
※ ブルーレイがあるようなんですが…amazonではこれしか出てこなかった(笑。
導入部は大変引き込まれる。深夜の病院に担ぎ込まれたフランス人。血だらけでわめいているが、フランス語がわかる人がその場にいず、夜勤担当の女医アイリーンが対応する。彼女が男の瞳を覗きこむと、『ニ・ソン・パ ・ソン・デジノワ……』と奇妙なメッセージを残し、男は彼女に襲い掛かるようにして倒れ、そのまま死んでしまった。
その直後から、アイリーンに謎の幻覚が見えはじめる。どうやら死んだ男、カリフォルニア大学の人類学者ジョシュア・ボミエ(なんとピアース・ブロスナン!)の記憶を追体験しているようなのだ。妻のニキと共にここに越してきて、新生活をはじめようとしていたが、壁の落書きから、どうやらこの新居で昔ミュージンシャンが殺人事件を起こしたことがわかる。ボミエの記憶を辿るがごとく、病院から姿をくらましたアイリーン。一方、アイリーンの家を訪ねた同僚が電話を取ると、アイリーンから調べ物を依頼されていた男(おそらく元夫?)が語った。「デジノワ」とはエスキモーの言葉で「イヌアト」と言い、悪霊を意味すると。同僚はフランス語ができるらしく、謎の言葉を「彼らはイヌアトだ。近づくな」と訳した。
ボミエ(の記憶を追体験するアイリーン)は、バイカーのような身なりの妙な連中につきまとわれはじめる。逃げ込んで入った廃屋では、シスターから「ボミエさんね、あなたは深追いしすぎたわ。とにかく、この街からすぐに出て、名前も仕事も変えた方がいいわ。なぜなら…彼らに気づかれたから」と意味深なことを言われる。が、時すでに遅く、ボミエは死んでしまった。一体、彼に何が起きたのか?
(ちゃんと解決しませんが、気になる人は以下ネタバレをどうぞ)
ん~、ちょっと不親切な作りです。単純にホラーを期待して見ると、肩透かしを食らうかも。なぜアイリーンがボミエの幻覚を見るようになったのかはわかりませんが…瞳を見たのがきっかけとしか思えないですね。ボミエ自身は、ここに来る前はエスキモーと交流があったようですし…そこで何か体験してしまったのか、それともカリフォルニアの新居(での殺人事件)が引き金だったのか…それはよくわかりません。が、「他の人が見えていても気にしないものに気づいてしまった」とシスターが言うように、自縛霊が見えるようになったのでは?と思います(そうとしか解釈できない)。
「この街から出なさい」とシスターが言う意味は、ラスト、ニキとアイリーンが車でカリフォルニアを出ようとする際、追いかけてきたバイカーがボミエだったこと(この映画の肝場面?)や、彼がそこから出ることなく、引き返して行ったことから…その場所以上は追いかけてこられない…みたいです。でもそうするとノーマッズ(放浪者たち)の意味がよくわからないなぁ…。着眼点はすごくいいのに、作りが雑なので、よくわからない映画で終わってしまったのが非常に残念。
ところで全くの蛇足ですが、途中ボミエの記憶で、ビルの屋上からノーマッズの一人を投げ落とす場面があるんですけど…落ちていく男の描写が『ダイハード』のハンスと一緒(笑。というか、こちらが先ですね。『ダイハード』はめっちゃ面白い映画なのに…。