戦慄の絆(1988年 カナダ)
双子の兄弟が一人の女性の登場によって、精神のバランスを崩していき…ついには…という話なんですが、あらためて見ても理解できないな~。クローネンバーグワールド全開です。あ、でも話じたいはしごく単純。
エリオットとビバリーのマントル兄弟。一卵性双生児で外見はソックリ。幼い頃から興味を持つものも同じで、医大へ進み、40代になった現在はトロントで産婦人科医を共同開業している。ある日、患者として女優クレアと知り合う二人。最初は彼女の子宮が3つに分かれてるという奇怪さにひきつけられ、興味本位で身体の関係を持つエリオット。が、大人しい弟ビバリーを思い、「ビバリー」として会ったのである。それを知ったビバリーは気が進まないまま、クレアと会ううちに本気で彼女を好きになってしまう。が、初めての恋(40代で!)にうろたえるビバリーの中に兄と離れたいが怖いという矛盾した感情が生まれてきて…。
ビバリーが初めて見る悪夢の辺りからクローネンバーグ節が炸裂。だんだん気持ち悪い描写が増えていきます。生理的にゾワゾワします。ビバリーが異常な精神状態で考えた手術器具(?)とか…あんなんで診察されたら死ぬわ!なぜか手術着が真っ赤なのも不思議。いくら優秀でもあんな婦人科行きたくない(笑。
正直、十数年ぶりに再見して、そんなに怖くはなかった。双子だから…というよりも、共依存関係の末路を描いているだけで、今ではそんなにめずらしくないんだけど、この時代にはまだ「戦慄」だったんだろうな。あらためて見てわかったのは、エリオットの方が実際はビバリーよりも彼の変化に戸惑っていたんだなと。エリオットはビバリーより社交的で、女性関係も激しかったけど、ビバリーがクレアに本気だとわかると、彼も変わっていくんだよね。そこでお互い離れられればよかったけど(あと薬からも)…最後にビバリーが一度クレアに電話するんだけど、話すことなく切って、また部屋へ戻っていくという…。
実話(←「マーカス兄弟の事件」で検索)を元に作られたそうですが、実際の双子も二人で一人の患者を診たり…と異常さはあったようです。しかもこちらは互いに結婚したけど、失敗し、結局二人に戻ったという…(ゲイの関係だったとも…)。
※原作の方が実話に近いようです(けっこうエグイらしいけど、読んでみたい)
- 作者: バリ・ウッド,ジャック・ギースランド,日夏響
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1989/03
- メディア: 文庫
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