この子の七つのお祝いに(1982年 日本)
私のもう一つのトラウマ映画(笑。この作品を見たせいで、岸田今日子&岩下志麻=怖い人確定となったのである。
原作は第1回横溝正史ミステリ大賞を受賞した同名小説。過去を調べて真相に行きつくのがまさに横溝正史っぽいです(未読ですが)。
- 作者: 斎藤澪
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1981/05
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しょっぱなから怖いです(笑。古い木造アパートの一室で、真弓(岸田今日子)が娘の麻矢に言いきかせている。「お父さんは私たちを棄てた悪い人…大きくなったら仕返ししなさい」と何度も何度も教え込む。アルバムの親子三人の手形が鍵となります。
現在。とあるマンションで池畑良子という女性が殺される。 フリーライターの母田は政治家磯崎の秘書秦の妻であり、占い師の青蛾という謎の女性の正体を調べていて、良子から話を聞く約束をしていた矢先、彼女が殺されたのだ。警察で出会った後輩の須藤に母田は愚痴交じりに事件の話をしたいと言うと、須藤は「往来(ゆき)」という店を指定する。そこは一見陰気だが、魅惑的な女ゆき子(岩下志麻)が経営しており、須藤は彼女に参っている様子だった。良子から証拠の品として青蛾が捜し求めている男の手形(のコピー)をもらっていた母田。なにげなく話を聞いているゆき子が思いっきし、怪しい(笑)と誰もが思いますね。そうです、その後、持病で苦しむ母田を送る形でまんまと近づくゆき子。
一方、警察も良子を殺したのは女だというところまでは突き止めたが、そこで事件は暗礁に乗り上げていた。母田は犯人は青蛾に違いないと秦の過去から青蛾の正体を探るため、会津へ赴く。会津で色々調べて返ってきた母田の様子は変だった。発作の苦しみから目覚めると、部屋にはゆき子がいた。翌日、母田を訪ねた須藤は手首を切って自殺した母田の遺体を発見する。誰もが持病に苦しんでの自殺だと断定したが、須藤だけは、彼が調べていた資料から会津の記述が抜き取られているのに気づき、犯人に殺されたのだと確信する。一方、青蛾は夫から頼まれたホテル王の高橋信哉の手形を見て、あわててある家を訪ねる。出たのはゆき子だった。
そして母田と同じ足取りを辿り、須藤がいきついた事件の真相とは…犯人とは…
(以下ネタバレ)
いや、犯人はゆき子だってのはバレバレですよね。ついでに言えばゆき子=麻矢だってのもすぐわかる。真弓は麻矢が七つになった正月に晴れ着を着せた床の隣で手首と頚動脈を切って血だらけで死んでしまいました(ウゲ~、これだけで娘にしたらトラウマものです)。
青蛾(本名レイコ)は昔麻矢が知り合った友人で、父の行方を捜したいという彼女に同情して、麻矢から教え込まれた手相見の知識を生かして、手相の男を捜し続けていたのだった。良子はメイドとして磯崎の家に出入りしていたがクビになり、麻矢と青蛾の関係を知ったため、麻矢に殺されたのだ。母田は会津でゆき子=麻矢だと知ったが、彼女を愛しはじめていた母田は麻矢に自首するよう説得する。しかし、母真弓の強烈な虐待(命令)を受け続けた麻矢は復讐を止めることができず、母田も手にかけてしまう。そして殺人を止めようとするレイコも殺す。
で、須藤は麻矢の父が高橋信哉というところまで探し当て、麻矢に呼ばれて行く高橋に同行する。麻矢は真弓と過ごしたあのアパートの部屋で待っていた。凶器に使ったかんな棒を持って…。
ところが麻矢は高橋から衝撃的事実を突きつけられる。真弓との娘である麻矢は中国から引き上げて生まれたばかりの2ヶ月目でネズミに齧られ、亡くなったと。では自分は一体誰なのか? 高橋は娘を亡くしておかしくなっていった真弓に恐ろしさを感じると同時に生き別れていた妻のみやこと再会した。そして真弓にお金とともに別れてくれと告げると、真弓は素直に応じたが、実はここから真弓の復讐ははじまっていたのだった。高橋とみやこの間にまもなくキエという娘が生まれたが、みやこが目を離したすきに真弓が誘拐し、ずっと麻矢として育てたのだ。父親を憎み、殺すように言い続け…。
高橋と須藤に繰り返し、キエなのだと数々の証拠をつきつけられる麻矢だったが、受け入れることができず、彼女の精神は崩壊していく…
ドシェ~な真相。とにかく岸田今日子の狂気の演技が全てですね。ミステリとしてはちょい偶然とか多すぎるし、都合よく過去のことがわかっていくので、どうなんだろうって感じですが、最後の真相は残酷すぎます。もともと変になっていた麻矢にダメ押しするような残酷な真相ですね~。これトラウマ映画な人、けっこういるんでは?