ハッピーボイス・キラー(2014年 アメリカ)
一人暮らしって独り言が多くなりがちですよね…じゃね~、これは完全にサイコくんですがな! シリアルキラーなんですけど、ちょい物悲しいです(コメディらしいですが)。
ジェリーは郊外のバスタブ製造工場で働いている。この会社の趣味なんでしょうか、ショッキングピンクの包装やリフトカーが妙に画面から浮いて見えます。
上司からいきなり「精神科医と話はしているのかい?」と訊かれているところから、ジェリーはワケありなんだなとしょっぱなからわかりますが、工場での親睦会の準備係になってはりきったり、経理課の美女フィオナを「いいな~」と見つめる眼差しは普通の男に見えます。
ところが、精神科の先生ウォーレン女史からは「薬は飲んでるの?」と訊かれ、「じつは…飲んでないかも」「今も声が聞こえるの?」とか…話している内容はちょっとヤバめな感じ。で、家に帰ってきたらば、猫のMr.ウィスカーズと犬のボスコと会話中。…まぁ、ペットに話しかけるのは普通に誰もがありますが、返事が返ってくるのは普通じゃないよね。
フィオナはジェリーにデートに誘われたりするんですが、経理課女子友とのカラオケ(笑)を選び、ジェリーは哀れ、すっぽかされます。フィオナは帰りに雨に降られ、車に乗ったはいいが、故障。携帯も水没しちまって、ど~しましょ状態のところに通りかかったジェリーの車。雨に濡れたフィオナが天使のように輝いて見えるジェリー。このまま不器用なラブストーリーが進みそうかと思った矢先、ジェリーは鹿を跳ね飛ばしちまいます。フロントガラスを壊して突っ込んできた血だらけの鹿。ジェリーには鹿が「苦しいよ…早く楽にしてくれ…ジェリー」と哀願してくるように聞こえ、思わずナイフ(なぜ持ってんねん!)を取り出し、鹿の首をスッパリ裂きます。血しぶきを浴びた助手席のフィオナは当然大パニック。あんた、何考えとんねん? 近づかんで~と車から飛び出して走り出す。ジェリーはあわてて「そんなとこ行ったら迷っちゃうよ」とナイフを持ったまま、彼女を追いかける。「やめて~、助けて~」と倒れたフィオナに、わざとじゃないのでしょうが(?)ナイフを刺してしまったジェリー。が、今度は楽にしてあげようとナイフを何度もグサグサ…これは完全に殺意ありでやんす。Mr.ウィスカーズにも言われます「お前はこれをやりたいんじゃ~、認めろや~」。一方、善の声(?)ボスコは「君は賢い子だ、警察に訳を話しなさい」と。ジェリーは悩みまくって…ウィスカーズの言うことをきいてしまいます。雨ですっかり洗われ、妙に綺麗な遺体となったフィオナを家に持ち帰り…解体。美しい頭部は冷蔵庫にしまいます。
するとフィオナの首がしゃべりだす「一人じゃ寂しいわ…仲間を連れてきて」…かくしてジェリーの連続殺人のはじまりはじまり……
よくあるサイコくんジャンル映画ではあるんですが、なんか妙に物悲しいんですわ(監督はコメディーとして撮ったようですが)。そもそものジェリーの狂気の種であるお母さんとのやりとりとか…なんか切ないんですわ(私だけか?)。
ラストは犠牲者のみなさんと明るく歌い踊る(キリストらしき人まで出てくるよ)んですが…やっぱ私には悲しく映ったわ…。あ、それなりにハラハラする場面もあるし、映画としては面白かったです。