ソムニア~悪夢の少年~(2016年 アメリカ)
夢を具現化できる不思議な力を持った少年…しかし、同時に彼の夢には「キャンカーマン」という恐ろしい魔物が棲んでいた……怖いというよりも物悲しい話です。
息子ショーンを亡くした夫婦ジェシーとマーク。詳しくは語られないけれど、ショーンは自宅の浴室で溺れたらしく、夫婦は互いのせいにし、なんとか前へ進もうとする夫マークと違い、ジェシーは眠れず、睡眠薬が手放せない。
そんな二人は8歳のコーディを養子に迎えることに。素直でかわいらしい少年だったが、コーディネーターの言うとおり睡眠に障害を抱えていることはたしかなようで、眠るのを怖がり、興奮剤やカフェインを摂っていた。
ある晩、コーディが眠った数時間後、ジェシーたちは綺麗な蝶が居間中を舞っている異様な光景を目にする。コーディが夢を具現化できる能力を持っていると知ったジェシーはショーンのビデオをコーディに見せる。その晩、夫婦の前にショーンが現れ、思わず二人は息子を抱きしめる。
一方、コーディには「いつもお前の側にいる」と囁く何者かがおり、恐れているのだが、眠気はいかんともしがたく、学校で眠っていると、クラスメートの男の子がいなくなってしまう(キャンカーマンにさらわれた)。自分のせいだとなんとなく気づいているコーディは眠るのを拒否するが、そんな彼に息子会いたさのジェシーは睡眠薬を飲ませて眠らせてしまう……その晩、悲劇が!
(若干のネタバレ&感想)
このジェシーの気持ちもわからんでもないんですよね。夫に「あれは本当の息子じゃない」って言われても、実際、触れるし、しゃべるし(コーディが見た記憶しかしゃべってくれないけど)。一方で、物心つかない内にたった一人の身内である母親を亡くし、こんな妙な能力を持ったせいで、引き取られた先の人々を不幸にしていたコーディの心境を思うと、胸をしめつけられます。「キャンカーマン」の正体がラスト近くで分かるんですけど、泣けますね。
さらわれた人々はどうなるのか…あくまで希望的観測で締めくくってはいますが、息子の死とちゃんと向き合うことができたジェシーは、きっとコーディの能力を正しく導いていってくれるでしょう。