トランストリップ(2013年 チリ・アメリカ)
そもそもメンタル豆腐状態の女の子が初の海外旅行で、唯一の味方の従姉妹が中抜けしちゃってスペイン語はわからないわ、完全アウェー。ジワジワと精神的に追いつめられた先に……血しぶきを期待しないでね。見る人によって好みが真っ二つに分かれる作品。どちらも悪くない…悪くないんだよね。
アリシアは初の海外旅行で従姉妹のサラが住むチリへやってくる。飛行機での長旅で疲れてるのに、出迎えたサラと友人一行、サンティアゴには何もないから南部にある別荘へ連れてってあげる…と。この時点で、アリシア疲れてるの。とりあえずシャワー浴びさせてもらうんだけど、その間、サラの友人たちはアリシアを面倒がっている様子がアリアリ。一緒にでかけるご一行紹介。
サラ……アリシアの従姉妹。チリの学校に通っている。もうかなりこの国に慣れてる。
アウグスティン……サラの彼氏。おそらくチリのマプチェ族出身?スピリチュアルなものに興味がある?
バルバラ……アウグスティンの姉。最初にアリシアを「面倒な子」呼ばわりした。誤ってアリシアが彼女のカバンを海(湖?)に落としたためさらに険悪な関係に。
ブリンク……アウグスティンの友人。父は外交官でお金持ちらしい。サラがアリシアへの当て馬として考えた男の子。だが、KYな性格がさらにアリシアに嫌われる。
12時間の車の旅。かけるCDでも彼らとは気が合わず、たまに自分のわからないスペイン語を話されると「私の悪口言ってる???」とキョド2しちゃうアリシア。つ、辛い。普通の神経でもこのアウェー感はツライと思います。なのに、唯一の味方だったサラがなんと学校の大事な追試を受けるとかで、途中で戻ってしまいます。明日には合流するから…というけれど(涙。
おそらくアウグスティンの親戚であるメルダの案内で船に乗り島の別荘へ。ところがそこでの日々はアリシアにとって悪夢でしかなかった…
人によって評価が分かれる…というのは、誰寄りに見るかにもよるんですよね。アリシア寄りに見ると、ブリンクやバルバラは自分に嫌がらせする存在にしか見えない。でも冷静に見れば、(やりかたはどうかと思うけど)彼女が場に馴染めるようにしようとしてるだけ。ただ、お互いの状態(性格?)が合わなかった…という感じです。アリシアの追いつめられ感がスゴイです…そして予期せぬラストへ。おとなしめなBGMも何やら不安をあおりますので、精神が凹んでいる時には見ないことをオススメします。
なんかこの小説思い出しちゃった…親切が相手には苦痛となることがある。
ヘルレイザー ゲート・オブ・インフェルノ(2000年 アメリカ)
ヘルレイザーシリーズの5作目…だそうですが、なんか個人的には違うんじゃないかと(ピンヘッドは出てくるけど)。でも「嫌な感じ」に面白かったです。おそらくゲーム『サイレントヒル』シリーズが好きな人はハマる内容だと思う。
主人公ジョセフ・ソーンは刑事。が、コイツ、のっけから嫌なヤツです(以下⑦つはサイテーなことしてます)。①相棒トニーに対するかなりバカにした態度②「家庭を大切にする」とのたまいながら、奥さんには仕事と偽り娼婦を買う。
で、まずヘルレイザーと言えば「ルマルシャンの箱」と呼ばれているパズルボックスですが、今回は第一被害者の現場で見つかります(かなりズタズタに引き裂かれ、原型を留めてない遺体…パズルを開けたんでしょうね~)。被害者チョウはジョセフの高校時代の同級生だった。③ジョセフはチョウについて「やつは変人だったので、バスケ部に入ってたけど、みんなで追い出した(←ぜったいオメ~も加担してるだろ)」と語る。
署に戻ったジョセフは④指紋の採取が終わったチョウの財布から金をチョロまかす。パズルボックスが気になり、それも懐へ。
その後、いったん家へ戻って眠る娘に顔をスリスリしますが…奥さんには「薬飲んでよく眠れ」って言い残し、また出て行く。そして娼婦ダフネと⑤クスリをキメながら一晩過ごす。トイレでパズルボックスをいじっていたら、動き出し…妙な世界に連れて行かれます。子供の頃過ごした子供部屋。遠くから「助けて」と子供の悲痛な悲鳴が。ジョセフが別の部屋へ出て行くと、口だけののっぺらぼうの怪物たちが襲い掛かってくる。が、目覚めるとトイレに横たわっていた。夢だったのか…と署に戻り、しばらくするとダフネから電話が。なにやら恐ろしい目に遭っている様子。モーテルへ戻ってみると、バスルームに無残なダフネの遺体が。そして、チョウの現場でも見つかった子供の指がここにも。で、⑥なんと、相棒トニーに証拠隠滅の片棒を担がせつつ、トニーの私物を現場に置いていく…サイテー野郎のジョセフ。
箱から採取された指紋を辿ると、ある刺青屋に。かなり暴力的にチョウのことを攻め立てるジョセフ。刺青屋は「箱はエンジニアが作ったものだが、チョウには買えなかったので、勝手に持ち去ってった」と。そこで怪物の幻影を見てしまうジョセフ。エンジニアとは何者だ?と問うと、「エンジニアを追うと…エンジニアは追いかけてくる」とビビリ気味に語り、逮捕するなら逮捕しろ、絶対エンジニアについてはしゃべらない…と刺青屋。別のルートに…といつもクスリを買っているアイスクリーム店(表向き)の店主かつ情報屋のバーニーからダフネのことを聞くと、元締めトニーから聞いたエンジニアの恐ろしい話を教えてくれた。エンジニアという男が鍵だと確信を深めるジョセフだったが、この際も⑦必要以上にバーニーに殴る蹴るの暴行を加えてたのを忘れてはいけません。
そのわりに子供の指が生きている状態で切られたもの(酷い!)と聞いて、子供を早く見つけ出して救出したいと思っているジョセフ。さて、かれはエンジニアに辿りつけるのか? そんな中、謎のビデオテープをおつかいの少年経由で渡され、見てみると、鈎針のついたムチで無残に叩かれるバーニーの姿が……
あのですね、ちゃんとした「オチ」を求める人には、この作品、オススメできませぬ。夢なのか現実なのか区別のつかない感じとか、追いつめられてくジョセフの姿とか…こいつがまた何度も書いてますが全く同情できないヤツなので、そういうのが見たい人のみ(?)どうぞ(笑。あと、ピンヘッド様もほっとんど出てこないの。それはちゃんと書いておかないと。
蛾人間モスマン(2010年 アメリカ)
タイトルから期待させる通り、B級です(そもそもTV映画だそうですし)。「モスマンは悪いやつらを許さない」っ~とカッコよく聞こえますが、ホントに蛾人間が襲いに来るよ。まぁ、襲われても仕方がない罪を犯した人たちなんですけど。
大学の卒業記念。皆で湖の側でキャンプ。主人公はキャサリン…なのかな。メッチャ老け顔です(笑。一人、仲間のジャレットが弟(中学生位?)を連れてきてしまった(ついて来てしまった)ので、皆さんもてあまし気味。ちょっとからかうつもりで夜の湖に連れてって、足を引っぱって溺れさせたら…ホントに死んじゃった。それなのに、彼らは事故に見せかけるために、さらに皆で石で頭に傷をつけるとか…酷すぎる! 罪を隠す人間を殺しに来るというモスマンに襲われろ~。と思ったら、ホントに襲われます。
まず思い出すのは『ラストサマー』ですね。卒業間際に間違って人殺しちゃった…自分らの将来を考えて、皆内緒ね。遺体ごと隠蔽。すると後ほど復讐されるという…あの作品は実は彼らが殺した(と思っていたのは)別人で、実は生きてて、そいつが殺人鬼だったという…ヒネリがあります。(←見てなければオススメ)
が、この作品の場合、まんまなんですね。なぜか復讐がはじまるのが10年後なんですけど、それは主人公キャサリンが10年ぶりにこの町に戻ってきたから(笑。で、彼らはモスマンにやられないよう色々ジタバタしますが…結局…って感じです。意外な展開を少し見せてもらったのは、昔モスマンに襲われながらも、唯一生還したがガイキチ扱いされてるオッサン。色々キャサリンたちに指南してくれますが実は…。
テレ東(地方局)で見ましたから…文句を言ってはいけません。なかなかラストはハラハラさせてくれますし。でも借りるまでもない気はします。
同じモスマンならこちらを…(クオリティ違いすぎ)。橋の崩落場面は圧巻です。
ボーグマン(2013年 オランダ他)
ん~、これはホラーなの? 異星人侵略物か?と思わせといて…特に正体みたいなのも現すことなく…同じ人間かもしれない。ただ思想が違うだけで。なんつ~か、好き嫌い分かれる映画ですね。途中で眠くなりました…私。
まず地下にモグラのように暮らしている男たちが、何やら地上の数人の男たち(中には神父さんもいる)に追われている。銃を持っている。しかし、追われてた男たちは飄々とその森から逃亡。連中の一人、カミエル・ボーグマンはどうやらその集団(?)のリーダーのようです。裕福な住宅街を「風呂を貸してほしい」と訪ね歩き、ある素敵な家で、ダンナのリシャルトはボーグマンをフルボッコにしますが、奥さんマリナは富裕層としての罪の意識があるらしく、ダンナに隠れて風呂に入れたり、食事を与えてあげます。ところがボーグマンはそれを感謝するどころか、気がつくと勝手に家の中に入り込み、子供たちに妙な話を語り聞かせたり、仲間と頻繁に連絡を取っていくのです…。
人は何人も殺されますが、グロさもなく、なんか、仕事をこなすように淡々と遺体の処理をするボーグマンの仲間たち。そこにスリルも恐怖もないし(私には感じなかった)。…私なりに解釈するならば「庇を貸して母屋を取られる」系の話。ヒュー・ウォルポールの『銀の仮面』や安部公房の戯曲『友達』的な不気味さはたしかにあります。
ここまで読んで興味を持った方は見て下さい程度のオススメ度です。ただし、あっけにとられる終わり方なので文句言わないでくださいね~。
- 作者: ヒュー・シーモアウォルポール,Hugh Seymour Walpole,倉阪鬼一郎
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
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関係ないけど夜毎なぜか真っ裸でマリナの上に乗っかってるボーグマンが、ハインリッヒ・フュースリの有名な絵画『夢魔』を思い出させて、そこは怖かったですね(確かにマリナはその時恐ろしい夢を見ている)。