Horror好きが行く!

怖いもの好きが書く映画・本・もろもろの記録

恐怖劇場アンバランス(1973年 全13話)

あの『怪奇大作戦』に続いて円谷プロが製作した大人向けオムニバスホラードラマ1970年には製作終了していたが、諸事情により3年後に深夜枠での放送となったらしい。たしかにいろんな意味で大人向け。ちなみにナビゲーターが青島幸男

すでに製作終了した作品のせいなのか、製作順とは違う順番で放送された。

第1話「木乃伊(ミイラ)の恋」

円地文子「二世の縁 拾遺」が原作劇場公開(監督:鈴木清順もされたらしいが……これを初回にもってきた意図がわからない。好みの問題かもしれないけど、前半見続けるのが辛かった現代に話が移る後半、主人公の女性と病床の老作家のくだりは面白い…というか不気味。先の予想はなんとなくついてしまうけど。

第2話「死を予告する女」

タイトル通り「24時間後にあなたは死にます」と予告してくる不気味な美女。作詞家の主人公は別れた妻のいやがらせかと問い詰めるが、車にひかれたはずの女の姿が消えたのを目の当たりにし、信じざるを得なくなる……

第3話「殺しのゲーム」

西村京太郎の同名小説が原作。胃がんで余命1年の主人公が、同じく肺がんで余命少ない男からお互いの命を狙い合う殺人ゲームをもちかけられる。主人公は人殺しなんてできないと断ることにしたが、肺がんの男が「自分は誤診されていた」と嬉しそうに言ったとき……

第4話「仮面の劇場」

これも1話目並みにシュールなドラマ。落ちぶれた劇作家が、資金不足の中、あくまで芝居を完成させようとするが、役者の一人が演技中に事故死してしまい……主演の唐十郎のラストの一人芝居が鬼気迫っていて怖い。

第5話「死骸(しかばね)を呼ぶ女」

一人の女を愛してしまった親友同士の男たち。一人が岩盤事故で死に、女は良心の呵責からか生霊となりその男の遺体を捜してさまよう……残った男は女を救おうと捨て身の奇策にうってでる。めずらしくラストはハッピーエンド

第6話「地方紙を買う女」

松本清張の同名小説が原作。わざわざ東京から甲信新聞を購読したいという女性。主人公の小説家が連載している新聞を読みたいからだという。そのすぐ後に甲信地方で男女の心中死体が見つかる。わずか1ヶ月で購読をやめたいと女性が言い出したとき主人公は彼女のもとを訪ねてみることに……謎の女性を演じた夏圭子がなんとも言えず色っぽい

 

第7話「夜が明けたら」

山田風太郎の「黒幕」が原作。チンピラにからまれた娘を救おうとして父親が彼ら3人を刺してしまう。2年ほどで出所してきた男だったが、チンピラたちにお金を渡し続けている償いのつもりなのだと言う男。彼を逮捕した刑事は、かえってチンピラどもの悪行をエスカレートさせるだけだとやめさせようとするが……真面目一辺倒な感じの男がラストに笑いながら語る場面が一番の見ものかな。

第8話「猫は知っていた」

仁木悦子の同名小説が原作。開業医のところに間借りしている兄妹が、そこで起こった老女の殺人事件を推理していく。猫を利用した殺人トリックが◎

第9話「死体置場(モルグ)の殺人者」

大学病院の助教が主人公。教え子で愛人の女性とドライブ中に男をはねてしまう。二人は遺体を病院の解剖用遺体安置所に紛れ込ませるが……殺された男性が娘のために買っていたオルゴールの狂った音色が不気味。子役が二人ともとんでもなく棒読みで笑える。さらにチョイ役の野坂昭如(!)も棒読みだった……(笑。

第10話「サラリーマンの勲章」

平凡なサラリーマン犬飼。課長に昇進した日の早朝会議に遅刻…会社に出社できなくなり家にも帰れず。のんびりマイペースで生きたい人…今よりあの時代の方がなおさら理解されづらいかも。バーの女性と懇ろになりいつしか彼女の出て行った夫になりすますことを考えはじめるが……このラストをどう見るか? 男性と女性の自分では違うんだろうなぁ(病院とかどうやってかかるんだろう…と現実を考えてしまった)。

第11話「吸血鬼の絶叫」

主人公東田を勝呂誉が演じてるのでなんか怪奇大作戦に思えてならない(笑。まず、日本語たどたどしい外国人が「トランシルバニアから来た」 と男をよみがえらせる(説明的)。東田の恋人エイコの父で考古学者鬼塚は吸血鬼が実在すると主張し、変人扱いされたうえに謎の失血死をとげていた。つまり、吸血鬼が鬼塚をよみがえらせ、女性たちを襲わせていたのです。…とにかく画面が暗くて状況がつかみづらい(笑。日光・十字架・蝋燭の火がニガテ…というオーソドックスな吸血鬼たちでした。

第12話「墓場から呪いの手」

いきなり男が浴室で女性をバラバラに解体している猟奇的な場面からはじまる。桑田は経理課長で仕事上のミスを部下の女性にカバーしてもらっていたがそのことでもめて殺してしまった。ところが翌日から周辺で奇妙な出来事が起こりはじめ、寝ている桑田に不気味な影が忍び寄る……切り取られた女性の手首が復讐をとげる話。手首が床を歩くときたてるキュッキュッって音が気持ち悪い。

最終話「蜘蛛の女」

高利貸しの女社長レンコと暮らすヒモの青年辰也。写真家として個展を開きたい辰也に対し、飼っている蜘蛛のように縛りつけるレンコ。思わずレンコを殺してしまった辰也だったが隠していた大金を見つけて有頂天そこへレンコによく似た妹があらわれて……これも蜘蛛がレンコの復讐をとげる話。辰也役が佐々木功。関係ないけどレンコの部屋が真っ青なインテリアでド派手

 

後半になればなるほど怪奇趣味が強くなって面白いのですが、製作された順番は実は最初の方(11話→2番目、12話→1番目、最終話→4番目など)。おすすめは2・3・10・12・最終話ですね。