アンドリュー・クラヴァンを知ってるかい?
およそ1ヶ月ぶりの記事になります(裏ブログ?ではけっこう頻繁に書いてましたけど)。開店休業と思われぬよう(?)スロットで本の話題があったので、書いてみることに。
著者の詳しい履歴はこちら ⇒ アンドリュー・クラヴァン
けっこういろいろ書いている人で、代表作は『真夜中の死線』らしいんですが、これは未読。私がこの人を知った作品は、
『秘密の友人』
です。とにかく冒頭から、異様な出来事が次々起こり、終盤でそれが全て繋がっていると気づく時の気持ちよさと言ったら!
サイコ少女エリザベスのキャラもすごいですが、この作品に出てくる人たちは皆どこか異常(笑。映画化もされてます(題名が違うので要注意)。
『切り裂き魔の森』
これは名前が違いますが、同一著者です。夫がもしや連続殺人犯では?と疑いを募らせてゆく、奥さんの話です。配偶者の過去って…そんなに追求したことないですよね、そういえば。
『アニマル・アワー』
これまた強烈な冒頭部です。主人公ナンシー(弁護士)が事務所に出社すると、誰も彼女をナンシーとは認めない。バッグには見覚えのない拳銃。パニックになり街をさまよう彼女が見た猟奇殺人事件のニュースの被害者は…ナンシー・キンケイド!
ワケがわからないうちに物語に引き込まれていきます。真相を強引とみるか、斬新とみるかは別として、とにかくこの著者は小説は冒頭部が大事なことをよくわかってます。
『アマンダ』
これも飛行機墜落事故という強烈な場面から始まります。その中で半狂乱で娘アマンダを探すキャロル。母娘が逃げ続けなければならない理由は何なのか? 二人と関わったサックス奏者ルーニーはアマンダの持つある能力を知る…ぶっちゃけちゃうと超能力モノで、ミステリーとは言い難いんですが、リーダビリティはさすがです。
『傷痕のある男』は…アマゾンになかった。海外作家ってこういうの多いよね~。読みたい時にはもう在庫がなかったり。そもそも狭き嗜好なのかな?とりあえず『秘密の友人』は「このミス」でもランクインした本だった(気がする)ので、オススメです。というか、この作品でダメと思った人は他の著作もダメかも(笑。
戦慄の絆(1988年 カナダ)
双子の兄弟が一人の女性の登場によって、精神のバランスを崩していき…ついには…という話なんですが、あらためて見ても理解できないな~。クローネンバーグワールド全開です。あ、でも話じたいはしごく単純。
エリオットとビバリーのマントル兄弟。一卵性双生児で外見はソックリ。幼い頃から興味を持つものも同じで、医大へ進み、40代になった現在はトロントで産婦人科医を共同開業している。ある日、患者として女優クレアと知り合う二人。最初は彼女の子宮が3つに分かれてるという奇怪さにひきつけられ、興味本位で身体の関係を持つエリオット。が、大人しい弟ビバリーを思い、「ビバリー」として会ったのである。それを知ったビバリーは気が進まないまま、クレアと会ううちに本気で彼女を好きになってしまう。が、初めての恋(40代で!)にうろたえるビバリーの中に兄と離れたいが怖いという矛盾した感情が生まれてきて…。
ビバリーが初めて見る悪夢の辺りからクローネンバーグ節が炸裂。だんだん気持ち悪い描写が増えていきます。生理的にゾワゾワします。ビバリーが異常な精神状態で考えた手術器具(?)とか…あんなんで診察されたら死ぬわ!なぜか手術着が真っ赤なのも不思議。いくら優秀でもあんな婦人科行きたくない(笑。
正直、十数年ぶりに再見して、そんなに怖くはなかった。双子だから…というよりも、共依存関係の末路を描いているだけで、今ではそんなにめずらしくないんだけど、この時代にはまだ「戦慄」だったんだろうな。あらためて見てわかったのは、エリオットの方が実際はビバリーよりも彼の変化に戸惑っていたんだなと。エリオットはビバリーより社交的で、女性関係も激しかったけど、ビバリーがクレアに本気だとわかると、彼も変わっていくんだよね。そこでお互い離れられればよかったけど(あと薬からも)…最後にビバリーが一度クレアに電話するんだけど、話すことなく切って、また部屋へ戻っていくという…。
実話(←「マーカス兄弟の事件」で検索)を元に作られたそうですが、実際の双子も二人で一人の患者を診たり…と異常さはあったようです。しかもこちらは互いに結婚したけど、失敗し、結局二人に戻ったという…(ゲイの関係だったとも…)。
※原作の方が実話に近いようです(けっこうエグイらしいけど、読んでみたい)
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FRANCESCA (2015)
予告がすごく期待かきたてられるんだけど…日本語版が出てない(泣。あちらでも評判はさほど悪くなさそうだけど???(Francesca (2015) - IMDb)
見るからにジャッロなんだけど、作られたのはスペイン?でも言語はイタリア語っぽいし。
私のつたない語学力でのあらすじですが、15年前、詩人で劇作家ヴィスコンティ氏の娘フランチェスカが誘拐され、今も見つかっていない。現在、街では連続殺人事件が。それを追う刑事のモレッティたちはその犯罪が神曲「ダンテ」に基づいて行われているとし、ヴィスコンティ氏に協力を要請? その中で、フランチェスカのこともわかってくるのかな?
子供の歌とか…モロ『サスペリアPART2』なんすけど。誰か~、見た方、感想upしてくだいっ!(人まかせ)
ヒッチハイク(1977年 イタリア)
勝手にレイプリベンジ物かと勘違いしてました。ま、たしかにヒロインが途中、レイプされる場面はあるんですけど、それ以前にまぁ…意外にいろいろ考えさせられてしまう映画だったのは私だけ?(笑。
たしかにコリンヌ・クレリー熱演のイブはやたら色っぽいです。酒びたりの夫ウォルターとキャンピングカーで旅行中。ウォルターは何かって~と、彼女の身体を触りますが…まぁ、露出激しいですから。そんな一方的なセックスしかしてこない夫をイブは軽蔑してます。三流ゴシップ誌の記者とか言うしね。…結婚9年かぁ、たしかにそんなにラブラブ旅行にはならないか。
とにかくその道中、青年アダムを乗せますが、ところがヤツは逃亡中の強盗犯だった。カバンには200万ドル入ってます。アダムは正体がばれると、残忍な性格を顕にし、夫婦をネチネチいびりながら、国境まで車を走らせるよう迫るのです。アダムがウォルターに自分の自伝を書けと、冗談とも本気ともつかないことを言うのですが、ウォルターはどうせロクな両親じゃないだろうと考えていると、意外にも真面目な善人だったりする(アダムがウソをついてなければ。まぁ両親のことを小バカにしたように話すところを見ると本当かなと)。同情を誘える境遇でなくて残念だな~ぐらいの話し方で、途中警官に尋問されると、さっさと撃ち殺します。後に追ってきた強盗仲間への仕打ちを見ても、とにかく異常なやつです。
で、とうとう、縛り上げられたウォルターの目の前で、アダムはイブを犯す…というけど、途中で夫を冷たく見つめていたイブがやがて目をそらし、行為に没頭していく様子がいやらしいというより冷たい画面です。キャンピングカーへ連れ込んでの第二ラウンド。アダムの目が離れた隙にウォルターは手の縛りを解くことに成功するんですが、早々に出てきたので、足は縛られたまま。申し訳ないが奥さんを連れていくから、あんたは用済みだと殺されそうになるウォルター。が、突然胸を撃ち抜かれ、息絶えるアダム。背後には全裸で銃を向けているイブの姿(ジャケ絵の場面ですね)が……
その後、なんとまだ話が続きます(笑。でも二人の間はあきらかに何かが変わってしまった。そして手元には200万ドルの現金が……なんというか、納得いかない後味悪しなラストなんですが、最後生き残った意外な人物の心境を考えると、わからないでもないと思ってしまうのが、前半ネチネチ描かれた夫婦の関係もあるからかなと。説得力があるんですわ(むかつく展開なんですけどね)。
つ~か、ヒッピーがやたらいたりとか、ラブ&ピースの時代なんですかね。そのわりにはやたらヴァイオレンスな映画だった。
『ラストサマー』シリーズ
なんと3作目があるんですね。知らなかった。すいませんがそちらは未視聴(この2作とはほぼ関連なさそうだし、DVDリリースのみ)。
ジェニファー・ラブ・ヒューイットがバービー人形のような完璧ボディのくせに脱ぎ惜しみする(笑)シリーズとも言えるかも。あ、話は鉤爪殺人鬼に若者がバンバン殺されてく、よくあるパターンですが、一応推理劇(勘違いか)もあります。『スクリーム』 と同時期位に公開されたので(しかも脚本家一緒)、存在感薄いシリーズですが、個人的には好きですね。
ラストに近づくにつれて服が少なくなってく(笑
『ラストサマー』(1997年 アメリカ)
「I know what you did last summer(去年何をしたか知ってるぞ)」…ジュリーに届いた脅迫状。彼女には心当たりがあった。
未来輝く卒業したばかりの4人の若者。独立記念日の夜、浮かれてた彼らは誤って車で男をはねてしまう。将来を考え、男を海に沈める4人。車の持ち主バリーが他の3人を言いくるめる形で、4人はこのことを秘密にすることを誓う。
1年後、ジュリーは大学から故郷へ戻ってくるが、町を離れても後悔に苛まれ、成績も危うい状況。恋仲だったレイとも、あの日以来疎遠に。父親は亡くなっていて、奨学金で大学へ進学したらしいジュリーはいわゆる真面目女子。卒業以来帰ってこなかった娘を母も心配していた。帰郷したその日に上記の手紙が届くんですね~。差出人は誰かわからない。バリーは男をはねた時、車で通りかかったマックスかと思い、彼に殴りかかるが…その後、フロックコートを着た男に殺されかけるバリー。町のクイーンにはなったが、夢見ていた女優にはなれず都落ちしたヘレンの元にもジュリー同様、脅迫状が届いていた。その後も彼らの背後に見え隠れするフロックコートの男。ジュリーたちははねてしまった青年デヴィッド・イーガンの身内の仕業かもしれないと彼の家を訪ねるが…
(以下ネタバレなので反転してね)
じつは犯人はデヴィッドの恋人で自殺したスージーの父、ベン・ウィルスだった。しかもデヴィッドは自殺していて(姉が保険金をもらうために弟の遺書を隠していたというのもスゴイが…)、ジュリーたちが車ではねた男はベンだったのだ。
事件後、デヴィッドのことを気にしてビリー・ブルーという偽名を使って、デヴィッドの姉に近づいてしまったレイ。それをジュリーたちに言えなかったためにあらぬ疑いをもたれ、レイから逃げるジュリー。助けてくれたベンの船に何も知らずにまんまと乗ってしまいます。そこでようやく、この男がスージーの父で、マックスらを殺した鉤爪殺人鬼だと気づく。船の中の冷蔵庫でビリーとヘレンの遺体を見つけてジュリーがキャーキャー叫ぶところはよろしいです。ジュリーの危機に気づき、必死で助けようとするレイもいい男(説明が足りなくて勘違いされるのとか…まぁ朴訥な青年といいましょうか)。ラスト、レイの機転で船のフックに引き上げられ、海に落とされて姿を消したベン。鉤爪を持った右手だけを残して…。抱き合うレイとジュリーですが、殺されかけた理由を警察に尋ねられて…「ない」って。相変わらずだなぁ(苦笑。
隠れデカパイなジュリー
個人的にはサラ・ミシェル・ゲラー演じるヘレンがさんざん逃げまくった末にやられてしまうところを推します。お姉さんがなかなかドアの鍵を開けてくれないところとか…わかっててもハラハラします。
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