僕だけがいない街(2016年 日本)
リバイバル…何か事件が起こる前に戻る能力を持った主人公が、母親が殺された直後戻されたのは…小学生の頃、同級生が殺される前の1988年だった。厳密にはSF+サスペンスでホラーじゃないけど、やたら長い映画が多い昨今、なんとか2時間にまとめてます。
マンガが原作で、アニメ化もされている有名な作品(両方とも未見です)。なのでおそらくは原作の方がいいのでしょうが、何も知らない私が単独で見て、映画として普通に面白かったです。 正直言うと、ラストに向けて忙しいのが難ですが。原作もそうなんでしょうけど、小学生時代の二人(中川翼・鈴木梨央)の甘酸っぱい関係がいいですね。舞台が北海道(現在の2006年は千葉?)なのも良いです。
舞台は2006年、主人公藤沼悟(藤原竜也)は売れないマンガ家で、ピザ屋でバイトもしている。実は悟は何か事故や事件が起こると、その少し前に戻ることができる不思議な力がある。トラックが歩道の小学生に突っ込む事故をその能力で防いだはいいが、対向車にぶつかってしまい、自分がはねられてしまう。運よく軽傷ですみ、それを見ていたピザ屋のバイト仲間片桐愛梨(有村架純)と親しくなるも、上京してきた母親佐知子(石田ゆり子)が何者かに刺し殺される。犯人を追った悟は、警官たちに逆に疑われ、逃げる途中、また不思議な感覚に襲われ…リバイバルしたのは小学校5年生だった1988年。連続殺人鬼に同級生の女子、雛月加代(鈴木梨央)が殺される前だった。母親の死はこの過去の連続殺人を阻止することで回避できるのではと考えた悟は、11歳の自分の姿で、加代をなんとか守ろうと試みるが……
(以下ネタバレを含む感想)
えっとご存知の方もいるとは思いますが、過去に戻ってやりなおすがテーマの映画では
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という良作があります(せつないラストも含めてよくできている!)。この作品と同様、悟も一度、加代の救出に失敗します。そしてなんと愛梨まで命を狙われる現在となってしまう。愛梨は悟をなぜかとても信じてくれて(まあお母さんと仲の良い様子も見てますしね)、悟をかばってはくれますが、とうとう警察に逮捕されてしまう。パトカーに乗せられる直前…また悟は1988年に戻ります。今度は加代を救うことができますが、ある出来事から悟は担任の八代(及川光博)を疑うことに。現在(2006年)でこの連続殺人の犯人として逮捕された白鳥潤(林 遣都)の車に、次に狙われるかもしれない女子が乗っていると焦る悟に八代は車で一緒に後を追ってくれるが、車中、悟の問いかけに八代は白状する。まるで未来でも見てきたかのように悟に自分の計画を阻止された…と。
で、悟は八代に橋の上から川に落とされ…またも2006年に戻ります。そこでは加代も大人になり、妊娠している(悟の子ではありません、勘違いする場面ですが)。過去で一緒に加代を守った友人賢也(福士誠治)は弁護士に。この現在では悟も売れているマンガ家(笑)になっていて、愛梨とは当然知り合ってません。橋の下(過去で重要な舞台だった)で出会った愛梨と他人として話す場面はせつないですね…。
で、悟は当然八代を探します。賢也に調べてもらうのが安直ですが、映画も尺がありますからね(笑。八代は結婚し、名を西園に変えており、市議会議員になっていた。そして少女が殺される事件もまだ続いていた。
さて、なぜか屋上(笑)での悟と八代の対決。ここで言う八代の殺した子供に対する「救ってやっている」という理屈がよくわからないんですが(たぶん原作ではちゃんと描かれているんだと思う)、八代はさらになぜか自分の首をナイフで切ろうとしますが、それを阻止しようともみあっているうち(笑)、切れたのは悟の頚動脈だったという…八代は逮捕された。
2016年、悟の墓の前に集まった母や加代、賢也たち。みんな救うことはできたけど、そこに悟はいない。愛梨も悟の描いたヒーローマンガを読んでいる場面は出てきましたが、当然悟のことは覚えていない。「僕だけがいない街」ってそういう意味だったのね(原作のラストとは全く違うものになったようですが、この映画を作った時点ではまだ原作が続いてたので仕方なしでしょう)。ラストがやや(?)駆け足だったけど、面白いタイムリープものだったと思います。