バーバリアン 怪奇映画特殊音響効果製作所(2012年 イギリス)
う~ん、これはホラー映画と言えるのか? ①残酷シーンなし ②登場人物たちがブラックすぎて笑える ③オチと言えるオチがない
が、なんか精神的にジワジワくる映画です。あと70年代イタリアホラーが好きな人は、はまれるかもしれません(舞台裏が描かれている)。
主人公のギルデロイは音響技師。イギリスからイタリアのバーバリアン・スタジオへ仕事でやってくる。しょっぱなから感じの悪い秘書(美女)になんとか取り次いでもらい、早速スタジオの中へ。
ここで、製作している映画『呪われた乗馬学校』のオープニングが流れる。これがまた、70年代ホラーの雰囲気プンプンで、期待が(?)盛り上がります。
が、残念なことにこの映画の画面、ほとんど出てこない。残酷な場面なのは登場人物たちのセリフでわかるのですが、スイカをザクザク切る音や、フライパンにバターを焦がす音や、女優さんの悲鳴で…想像するしかありません(笑。
ギルデロイ、どうやら仕事の内容をよく聞いてなかった(もしくは”ホラー”と言ってなかったのかも。監督はホラー映画と言われてキレる場面がある)ようで、英語があまり通じない、慣れない環境で、残酷な場面を見ながら懸命に音を作っていきます。
英国人らしい(?)神経質な見た目のギルデロイ。恋人からの手紙か…と思ったら母親からだし! 仕事は実直なんだろうけど、なんか不器用な感じが伝わってきます。
旅費を払ってもらえない(たらい回し)、装置のガタがきている(古株のエンジニアにいじるなと言われる)、押しの強いプロデューサー(自分も不満タラタラ)、ろくに顔を出さない監督(女好き)…などなどいらつかせる要素に映画じたいの不気味な音楽(魔女の歌とか)も重なり、ギルデロイの精神がだんだん不安定になっていくわけです。
最初にオチがないと書きましたが…真っ白なスクリーンを見ているギルデロイの後姿で終わるんですけど、これは現実なのか、ギルデロイの妄想なのか。もしかしたら仕事はなんとか終わって、国に帰ってるのかもしれないし…まだ続いているのかもしれない…バーバリアンスタジオで。
これ、音がとにかく不気味なので、暗い部屋でヘッドホンして見ると、楽しめるかもしれません。まぁ、雰囲気映画とも言えるので、ここまで読んで面白そうって思った人にだけオススメします。