LA DAMA ROSSA UCCIDE SETTE VOLTE (1972年 イタリア)
英題は”Red Queen Kills Seven Times”
DVD日本未発売。ブルーノ・ニコライの印象的なスコア、赤いマントの殺人鬼、ジャーロのわりにしっかりしたオチ…面白いんだけどなぁ。実はようつべで見たのでイタリア語での視聴(笑。もちろん、画面だけ見てるようなものだったので、ストーリーの理解は他サイトのお力を借りました(Thanks! 、YELLOW様)。
過去記事で書いた『La notte che Evelyn usci dalla tomba』の監督の2作目だそう。主役のバーバラ・ブーシェは『タランチュラ』で妖艶なヌードを披露してた女優さん。
ドイツの古城で祖父と暮らしているキティと妹エブリン。エブリンはキティが大事にしている人形をズタズタにし、二人はケンカに。車椅子の祖父があわてて仲裁し、壁にかかっている絵の話をします。
仲の悪かった姉妹<赤の女王>と<黒の女王>。ある晩、就寝中に黒の女王にナイフで7回刺され絶命した赤の女王。墓場からよみがえると、6人を殺害。最後に黒の女王を殺したという。
大人になったキティはファッションカメラマンとして活躍していた。そこへ届いた祖父の訃報。心臓発作で亡くなったのだ。ずっと古城で祖父の世話をしていた姉フランチェスカに呼ばれ、古城へ戻るキティ。
祖父は、死ぬ前に赤いマント姿の女が笑って立ち去るのを見たらしい。それを聞いたキティに恐ろしい記憶がよみがえる。実は数年前、庭で掴み合いのケンカをしていて、誤ってエブリンを殺してしまったのだ。
キティ(バーバラ・ブーシェ)
祖父の死を側きりに、キティの周辺人物が次々と殺されていきます。キティは殺した妹がよみがえり、自分に復讐にきたのかと悩み、悪夢を見るように(エブリン(?)が長い廊下を延々と駆けて近づいてくる…この作品一番の名場面かも!)。
謎の電話に導かれ、その部屋を訪ねると、仕事仲間が殺されていた。周囲にはエブリンを装うかのように鬘や似顔絵、赤いマントが。
キティは意を決して、古城の地下室に隠されているエブリンの遺体を確認に行くが…
扉を開けると、赤いマント姿のエブリンが…
倒れ、力尽きたその背中には短剣が突き刺さっていた。よく見ると、女はマスクをかぶっている。キティが剥ぎ取ってみると、その下に現れた顔は……
(以下ラストまでネタバレ)
一方、キティの恋人マーティンは、祖父の遺言状から孫が本当は4人いたことをつきとめる。姉フランチェスカ・妹エブリン以外にキティには腹違いの妹がいた。
それは…キティの秘書ローズマリー。エブリンに成りすましていたマントの殺人鬼はローズマリーだったのだ。
キティが城へ行ったのに気づき、後を追うマーティン。そこへ現れるフランチェスカ。自分がローズマリーをそそのかし、一連の殺人をやらせたことを白状する。しかも数年前、キティが殺したと思っていたエブリンだったが、じつは生きており、直後にやってきたフランチェスカにあらためて殺されたのだ。祖父の看病で一生を台無しにされたと、一族を逆恨みし、皆殺しにする計画を立てていた。
マーティンはキティの居所を聞き出そうとするが、罪をなすりつけられたフランチェスカの夫が怒りのあまり、彼女を撃ち殺してしまう。
フランチェスカに刺されたマーティンだったが、駆けつけた警察とともに懸命に城内を捜索。じつは事前に水門を開けたフランチェスカによって、地下に閉じ込められたキティは水攻めに。溺れてしまうところを間一髪、扉が開かれ、助かった(この場面はけっこう大掛かり)。救急車で運ばれるマーティンの傍らで、弱々しくも微笑むキティ。
短剣で刺すだけで、殺し方としては地味ですが、絵の話と同じく、6人殺され、最後に主人公…というのが様式美? 横溝正史の見立て殺人を彷彿とさせます。