キング初心者にありそうな…いきなり長編を読んで、商品名まで出てくる細かすぎる描写にうんざりして挫折。そんな経験を持つ方は、是非短編にチャレンジ。もちろん当たり外れもあるけれど、短いからそんなに腹も立たないはず(笑。近作は全く読んでいないため、紹介する作品が古いものばかりですが、私が衝撃を受けた5作品を。
第5位 ゴーサム・カフェで昼食を
離婚協議中の夫婦が弁護士と共に訪れたカフェで突然店員が……。ありえない話? いや、全くそうとも言えないはず。こんな異常事態の中でも妻の気持ちは全く変わらないところがブラックで笑える。
ところで私が読んだのはこの短編集ではなくて、以下のアンソロジーでした。もう中古でしか手に入らないようですが、他の収録作も面白いので読めたら是非。
ゴーサム・カフェで昼食を―22の異常な愛の物語 (扶桑社ミステリー)
- 作者: マーティン・H.グリーンバーグ,ナンシー・A.コリンズ,エドワード・E.クレイマー,Nancy A. Collins,Martin H. Greenberg,Edward E. Kramer,白石朗,中原尚哉,押田由起,小林理子,浜野アキオ,玉木亨,竹生淑子,井上梨花
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1996/05
- メディア: 文庫
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第4位 献辞
とある有名ホテルに勤める黒人のメイド。作家となった息子から処女作が送られてきた晩、彼女は親友にある”うち明け話”をする……彼女のした”ある行為”に嫌悪感がこみ上げてたまりません。
ほかの収録作「スニーカー」(トイレに出る幽霊の話)も面白い。
第3位 キャンパスの悪夢
「ぼく、君が欲しいものはちゃんとわかっているんですよ」女子大生エリザベスにこう語りかけてきたのはさえない風貌の青年エド。不思議にもエドは言うとおり、彼女の好みや気持ちを完璧に理解してくれるのだった……ってオチは読めちゃう感じですが、エドの側から見ると「純愛」と言えなくもない(?)。
ナイトシフト〈2〉トウモロコシ畑の子供たち (扶桑社ミステリー)
- 作者: スティーヴンキング,高畠文夫
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1988/07
- メディア: 文庫
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この短編集、ほかも映画化された「トウモロコシ畑の子供たち」、サイコホラー「バネ足ジャック」「花を愛した男」など秀作揃いです。
第2位 N
精神科医が強迫神経症の患者Nから聞いた”奇妙な岩”の話。その話を聞いてしまうと、岩のことを確認せずにはいられない……「よかった~、日本人で」って思った作品(だってメイン州にはさすがに行けないし 笑)。
あの”呪いのビデオ”のように次々と登場人物に執りついていく岩の存在。ベースにクトゥルー神話があるようですが、よくわからなくても十分怖いです。
第1位 ノーナ
大学を中退してヒッチハイクの旅に出た青年の一人称で物語は綴られます。ドライブインでノーナという女性に出会い、一目で心惹かれ、 ノーナも彼についてきます。ところが彼はノーナに導かれるようにして、出会った人々を次々と殺しはじめていく……どこまでが現実なのか妄想なのか、あやふやな感じが読んでてゾクゾクします。まぁ、ラストに種明かし的な描写はあるんですけど。3位に書いた「花を愛した男」もノーナという女を捜してます……
ほかの短編集収録作「浮き台」や「生きのびるやつ」、「おばあちゃん」もおすすめ。
全くの余談ですが…前々からMotley Crue のNonaって曲がすごくこの作品のイメージと合ってると思う…「君がいないと気が狂いそうだ…」って繰り返し歌うという… ダークな感じも。キングもロックバンドやってたくらいだから、彼らがキング作品読んでても不思議はないけど。
キングの中篇と長編についてはまた別の機会に書きたいと思ってます。